駅弁の話。

朝刊の折込チラシを見ていると、近所のスーパーで全国有名駅弁フェアだか何だかをやると書いてある。彼の「ますのすし」もあるので昼に買いに行った。
家から4km程離れた所にあるそのスーパーに行く。どこに置いてあるのかと店内を見回すと惣菜等を置いてある近くにそれらしきコーナーが見える。近付いてみると長机2個程度のスペースに駅弁が多少の説明ポップと共にそれとなく積まれているだけである。大々的に広告を出している割に貧相な特設コーナーであるが、1000円以下の物は既に無くなっている。元々の入荷数が分からないので何とも言えないが、繁盛しているとは言いがたい雰囲気であった。
それは扨置き「ますのすし」を買う。そのお値段は1,100円也。早速家に帰って食べてみたが相変わらず旨い。この駅弁については駅弁を知る人には有名な物で、私が説明を書くまでも無くインターネットに情報が溢れているので敢えて説明はしない。


当たり前の事であるが駅弁と言うと駅で売っている弁当の事である。だからと言って毎日の通勤に駅を利用している人が買うわけではない。旅人が買うのである。駅弁の中にはお世辞にも美味いとは言えない物もある。しかし、旅と言う非日常の中、旅で疲れて腹が減っている時に食べる駅弁と言うのは格別に美味いものである。
駅弁が駅弁たる所以は列車内で食べられるようになっていると言う事にある。別に列車内で食べなくても良いが、駅弁を買ってそのままホームのベンチで食べていたのでは風情がない。やはり動く列車内で流れ行く景色を眺めながら食べるのが乙と言うものだろう。もっとも、駅弁でなくとも列車内での飲食は可能である。そこいらのコンビニ弁当を持ち込んでも良い。
それでも尚駅弁に拘るには理由がある。近代以降の駅弁にはその土地の特産物を使用している物が多い。例えば今回の「ますのすし」は北陸辺りの海だかで取れる鱒を使っている。折角、遠い所まで来たのであるからその土地の名物を食べたいと思うだろう。そんな折に駅弁として簡単に入手できるとあらば買わないわけにはいかない。それだけの魅力が駅弁にはあるのである。
そんな駅弁の相場は概ね1,000円である。1,000円も有ればコンビニ弁当ですら2個と飲み物1つ買える。旅行中と言う非日常でなければ容易く購入に踏み切れる値段ではない。なかなか旅行に行けないから近所のスーパーで駅弁でも買って誤魔化そうと言うのに……。惣菜コーナーの弁当が格安に見えるじゃないか……。